軽貨物ドライバー業務委託のリアル|年収・経費・Amazonフレックス徹底解説2026

EC市場の拡大で配送需要が爆発する一方、ヤマト・佐川・日本郵便といった大手だけでは荷物がさばききれず、いま「軽貨物業務委託ドライバー」の求人が爆増しています。求人広告には「月収50万円」「未経験OK」「黒ナンバーで独立」と並びますが、現場の実態は売上と手取りに大きな乖離があり、車両リース・燃料・任意保険・国保・年金・所得税まで全部自分持ち。さらに2024年11月施行のフリーランス保護法、2025年4月の安全管理者義務化と、ルールも一気に変わりました。本記事では、軽貨物業務委託の年収レンジ・経費の中身・Amazonフレックスとヤマト下請・Uber Eatsの違い・労働者性の判定基準・開業手続き・社会保険の落とし穴まで、求人広告には書かれていない一次情報を10章+FAQ10件で完全解説します。

1. 軽貨物業界の市場拡大と需要構造

軽貨物ドライバーという仕事を語る前に、まず需要側の構造を押さえておく必要があります。なぜ「未経験でも月収50万円」のような求人が成立しているのか、なぜそれでも単価が下がり続けているのか。市場規模と荷主側の事情を理解せずに飛び込むと、契約条件のおかしさに気づけません。

ラストワンマイル市場は2025年度3兆1,950億円

矢野経済研究所の2025年調査によれば、ラストワンマイル物流(最終消費者の元へ届ける配送区間)の市場規模は2025年度で前年度比103.4%の3兆1,950億円、2030年度には3兆9,800億円まで拡大すると予測されています。背景は単純で、EC化率の上昇と荷物の小口化が同時進行しているからです。1個あたりの単価は下がる一方、個数は増え続けるため、ヤマト・佐川・日本郵便といった元請大手の自社配送網だけでは到底さばけない。だから「軽貨物業務委託」という枠が肥大化しているわけです。

大手宅配は「捌ききれないから委託する」

大手宅配3社は2017年のヤマト働き方改革以降、ドライバーの労働時間規制と賃上げが急速に進み、自社雇用ドライバー1人あたりの稼働可能個数が頭打ちになりました。一方で個数は増え続けるため、構造的に「個人事業主への業務委託」を増やさざるを得ない。これがAmazon、楽天、ヨドバシなど自社配送網を持つEC事業者と並んで、軽貨物業務委託の需要を支えています。需要は2030年まで右肩上がりが確実視されているので、仕事自体が消えることはまずありません。

「2024年問題」の歪みは軽貨物に流れた

2024年4月から自動車運転業務の時間外労働上限が年960時間に規制されました(いわゆる物流2024年問題)。これによりトラックドライバーの長距離稼働が制限され、中継物流の効率が落ちた分、ラストマイルにしわ寄せが集中しています。軽貨物はこの時間外規制の対象外で、契約上は「個人事業主の裁量」とされるため、結果的に「夜間配送・早朝配送・再配達」を吸収する受け皿になっています。物流2024年問題の構造は物流業 2024年問題完全解説に詳しくまとめています。

2. 業務委託契約の階層構造(元請・下請・個人事業主)

軽貨物業務委託で最初に理解すべきは「自分が階層構造のどこにいるか」です。同じ「Amazonの荷物を配る仕事」でも、Amazonと直接契約しているのか、デリバリープロバイダ(DA)と契約しているのか、さらにその下請けなのかで、単価も自由度も大きく変わります。

4つの典型パターン

パターン契約相手単価仕事の安定性自由度
直契約(Amazonフレックスなど)荷主本体高い(時給換算2,000円相当)ブロック制で自分で取りに行く
1次下請(DA・委託会社直)荷主の委託先中(個建120〜180円)毎日固定エリアで安定
2次下請(孫請)1次下請会社低(個建100〜140円)仕事は来るが単価薄い×
スポット(PickGo等)マッチング事業者案件次第(5千〜2万円/件)不安定

同じ車・同じ人が運んでいても、間に1社挟まるごとにマージンが10〜20%抜かれていきます。求人広告で「月収80万円可能」と書かれていても、それが直契約での話なのか、2次下請の上振れ例なのかで実態がまったく違うわけです。

ロイヤリティ・車両リース料の罠

下請けに入る場合、毎月の売上の15〜20%、あるいは固定で5,000〜20,000円を「ロイヤリティ」「システム使用料」「無線使用料」として徴収されるケースが多いです。さらに「車両を当社からリース」「ユニフォーム代」「研修費」が天引きされ、売上が50万円でも振込額は35万円ということが珍しくありません。契約前に必ず「天引き項目」を全部書面で出させてください。

3. 年収レンジと手取りのリアル

ネット上の求人では「月収70万円」「年収1,000万円可能」が踊りますが、これらはほぼ全て売上ベースであり、経費を引いた手取りではありません。ここで本当の数字を分解します。

軽貨物業務委託ドライバーの典型年収(フルタイム稼働)
売上 480万円〜720万円 / 手取り 300万円〜450万円
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業統計」、各種業界調査の単価平均から算出。週6・1日10時間稼働を前提

売上の組み立て

稼働パターン1日売上月稼働日月売上年売上
個建140円×120個(標準)16,800円25日42万円504万円
個建160円×140個(繁忙期)22,400円26日58万円700万円
Amazonフレックス8h×6回16,000円24日38.4万円461万円
チャーター便(スポット高単価)20,000〜30,000円20日40〜60万円480〜720万円

手取りの計算式

手取り=売上 −(燃料代+車両費+保険+ロイヤリティ+税金・社会保険)

典型的には、売上600万円のドライバーで以下のように消えていきます。

売上600万円→手取り350万円の内訳
  • 燃料代(月3〜4万円):年48万円
  • 車両リース or 減価償却:年36〜60万円
  • 任意保険(事業用):年12〜18万円
  • 車検・整備・タイヤ:年10〜15万円
  • ロイヤリティ・無線料:年30〜60万円
  • 国民健康保険:年20〜35万円
  • 国民年金:年20万円
  • 所得税・住民税・個人事業税:年30〜50万円
合計206〜306万円が「手取り化される前に消える」

サラリーマン年収600万円(手取り約460万円)と比べると、軽貨物業務委託の年収600万円は手取り350万円程度。額面同水準でも実質100万円以上の差が出るのが構造です。物流業界の年収比較は物流年収ランキング2026でも整理しています。

4. 経費の実態(車両・燃料・保険・税金)

車両:購入かリースか

軽バン(N-VAN、ハイゼットカーゴ、エブリイなど)の新車は税込130〜180万円、中古でも50〜100万円。ローンを組むか、業務委託会社経由でリース(月25,000〜45,000円)するかの選択になります。リースは「月の出金が読める」「初期費用ゼロ」が魅力ですが、3年で総額100万円超になることが多く、長く続けるなら中古購入のほうが圧倒的に安く済みます。

燃料代

軽バンの実燃費は12〜16km/L程度。1日150kmを走るとリッター160円換算で月3〜4万円。郊外配送や山間部だと月5万円超もあります。レギュラー価格はガソリン補助金の段階的縮小で2025年も高止まりしており、燃料の価格変動が手取りを直撃します。

任意保険(事業用)

自家用と違い、事業用ナンバー(黒ナンバー)の任意保険は割高です。対人無制限・対物無制限・車両保険なしで年12〜18万円、車両保険込みなら年20〜30万円。事故率の高い20代では年30万円超もあり、ここを削ると一発の事故で破産します。

税金

個人事業主は所得税・住民税・個人事業税・消費税(売上1,000万円超で課税)に加え、2023年からインボイス制度で課税事業者になる人も増えました。免税事業者のままだと、元請から仕入税額控除できない分の値引きを求められるケースがあります。

5. Amazonフレックス vs ヤマト下請 vs Uber Eats 徹底比較

軽貨物業務委託といっても、案件のタイプで仕事の中身は別物です。代表的な3つを比較します。

項目Amazonフレックスヤマト下請(クロネコDM便等)Uber Eats(軽バン配達)
契約相手Amazon直契約1次/2次下請会社Uber Japan
報酬体系ブロック制(時間制)個建(1個あたり)配達単位+ブースト
時給換算約2,000円相当1,200〜1,800円1,000〜1,800円
1日売上目安10,000〜16,000円14,000〜22,000円10,000〜18,000円
稼働の自由度ブロック自分で取得固定エリア毎日オンライン時間自由
仕事の安定性ブロック取得競争あり非常に高い需要次第(雨の日強い)
労働強度1ブロック150〜200個1日100〜180個1日20〜40件
向いている人朝早く動ける/予定組める人毎日同じことをしたい人副業・スキマ時間で稼ぎたい人

Amazonフレックスの実態

Amazonと直接契約する個人事業主向けの仕組みで、報酬は時給換算で約2,000円。8時間ブロックで16,000円程度です。アプリでブロックを取得→自分の軽バンで集配→配達というシンプルな流れで、中間マージンが発生しないため単価は高め。ただし人気のブロックは秒で消えるため、取得のためのアプリ操作スキルとエリア感覚が必要です。経費(燃料・駐車場代・任意保険)は全て自己負担で、月収40万円前後が現役配達員の標準的な売上ベースです。

ヤマト下請の特徴

固定エリア・固定時間で毎日同じ仕事ができる安定型。1次下請に入れれば個建160〜180円も狙えますが、2次・3次に入ると100〜130円まで下がります。荷量は一定で読みやすい反面、再配達の自由度が低く、夕方〜夜の指定再配達が多発するエリアは拘束時間が伸びがちです。

Uber Eats軽バンの特徴

もともと自転車・原付の印象が強いUber Eatsですが、近年は軽バンでの大型注文・複数件配達も増えています。雨の日・天候不順時はブーストが効いて時給2,500円相当も狙えますが、晴れた平日は1,000円割れも珍しくありません。本業向きというより、Amazonフレックスや下請の合間に稼働する副業ライン向きです。

6. 業務委託 vs 雇用契約の判定基準(労働者性)

軽貨物業務委託の最大のグレーゾーンが「これは本当に業務委託か、それとも実態は雇用ではないか」という労働者性の問題です。実態が雇用なのに業務委託契約にしている場合は偽装請負となり、元請には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

厚生労働省の判断基準

厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」では、以下の4要素から労働者性を判定します。

  1. 業務に関する指示や管理・評価を発注者がしているか(配達順・休憩タイミング・服装まで細かく指示されると黒)
  2. 勤務時間・休憩・休日を発注者が管理しているか(始業終業の打刻、有給的な休暇制度があると黒)
  3. 業務に必要な備品・資材・資金を発注者が支給しているか(車両・燃料カード・端末を全部発注者持ちだと黒)
  4. 単なる肉体的労働力の提供を受けているだけか(業務の独立した完成責任を負っていないと黒)

軽貨物でありがちな「黒い委託」

「朝8時に営業所集合・終礼まで帰れない・車は会社支給で帰宅持ち出し不可・配達順は管理者が指示」というケースは、契約書がどう書かれていようが実態は雇用に近く、フリーランス保護法と労基法の両方の保護対象になります。万一事故やトラブルがあった際、労災が使えるかどうかはこの判定で決まります。求人面接の段階で「拘束時間」「車両支給有無」「指示系統」を必ず確認してください。

偽装フリーランスのリスク

2024年11月施行のフリーランス保護法は、業務委託の体裁を取りながら実質的に労働者である「偽装フリーランス」を厳しく取り締まる方向に動いています。発注事業者は契約条件を書面で明示する義務があり、報酬の減額・受領拒否・買いたたきは禁止行為。違反すれば公正取引委員会から勧告・命令を受け、命令違反は50万円以下の罰金です。労働者性の論点はSCM・ロジコンサル転職完全ガイドでも触れている契約設計の問題と地続きです。

7. 配送単価の下落傾向とフリーランス保護法

個建単価は10年で20〜30%下落

軽貨物の個建単価は、2010年代前半に200〜250円が標準だったものが、いまや120〜160円が中心レンジです。背景は「EC化で個数が爆増→大手が委託先を増やす→新規参入が増える→値下げ競争」というシンプルな構造で、ラストマイル全体の単価インフレ(運賃値上げ)が起きている宅配料金とは逆方向で、委託ドライバー側の取り分は薄くなっています。

フリーランス保護法で何が変わったか

2024年11月施行のフリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、軽貨物業務委託にとって追い風です。具体的に効くポイントは以下。

項目規制内容軽貨物ドライバーへの効果
書面交付義務業務内容・報酬・支払期日等を書面/電磁的方法で明示「口約束で単価下げられる」が違法に
報酬支払期日納品から60日以内に支払う義務支払サイト90日先送りが違法
報酬減額禁止事前合意なき減額・買いたたき禁止「天引き」項目の事前明示が義務化
受領拒否禁止正当理由なく荷物を引き受けない等の行為禁止「今日は来なくていい」で稼働ゼロ封じ
育児介護への配慮義務申出に応じた配慮義務6か月以上の継続委託で配慮義務発生

受託側がやるべき対抗策

単価低下に抗うための実務テクニック
  • 契約は必ず書面化させ、単価変更時は別途書面合意
  • ロイヤリティ・天引き項目は契約締結前に全項目リスト化
  • 稼働実績はアプリだけに頼らず自分でも日次記録(万一の単価交渉エビデンス)
  • 同じエリアの他社単価を3社相見積もりして交渉カードに
  • 違法な減額・買いたたきは公取委「フリーランス・トラブル110番」へ通報可能

8. 開業手続き(黒ナンバー取得の完全フロー)

軽貨物の業務委託で稼ぐには、自家用ナンバー(黄色)ではなく事業用ナンバー(黒)が必須です。届出は1日で終わりますが、書類の取り違えで差し戻されることが多いので順番を整理します。

必要書類(運輸支局)

  1. 貨物軽自動車運送事業経営届出書(提出用・控え用の2部)
  2. 運賃料金表(提出用・控え用の2部)
  3. 事業用自動車等連絡書
  4. 車検証(または完成検査証)
  5. 住民票または印鑑証明書(発行3か月以内)

2025年4月からの新ルール:安全管理者選任義務

令和7年(2025年)4月1日以降、新規に軽貨物運送事業を開始する事業者には、安全管理者の選任・届出義務が課せられました。1人で始める場合は自分自身が安全管理者となり、講習と適性診断を受ける必要があります。事故の多い事業者には行政処分(事業停止等)も強化されており、過去のような「届け出だけ出して放置」は通用しなくなりました。

開業の流れ(最短2日)

ステップ場所所要時間備考
1. 経営届出書を作成自宅30分運輸支局のWebからDL
2. 運輸支局で受理運輸支局1〜2時間受理印もらう/事業用自動車等連絡書交付
3. 軽自動車検査協会で黒ナンバー交付軽自動車検査協会30〜60分手数料1,500円程度
4. 任意保険を事業用に切替保険会社1日料率が上がるので注意
5. 開業届を税務署へ提出税務署15分青色申告承認申請も同時に

開業の初期費用

車両以外で必要なのは、黒ナンバー取得手数料約1,500円、任意保険初年度約15万円、簡易な配達備品(台車・スマホホルダー・カーゴネット等)で2〜3万円。合計20万円弱で開業可能ですが、車両を中古現金一括で買う場合はプラス50〜80万円、リースなら初月25,000〜45,000円が乗ります。

9. 健康保険・年金・失業保険の落とし穴

サラリーマンから軽貨物業務委託に転身する人が一番見落とすのが、社会保険のダウングレードです。会社員から外れた瞬間に、健康保険・年金・労災・雇用保険の枠組みが大きく変わります。

会社員→個人事業主で変わる4点

項目会社員時代軽貨物業務委託影響
健康保険協会けんぽ/組合健保(会社折半)国民健康保険(全額自己負担)年20〜35万円の負担増
年金厚生年金(2階建て)国民年金のみ受給額は会社員の約半分
労災会社負担で加入原則対象外(特別加入で任意)事故時の補償ゼロのリスク
雇用保険失業手当・育休手当あり対象外仕事が切れても失業手当なし

労災の特別加入は必ず申請を

軽貨物業務委託は基本的に労災の対象外ですが、貨物軽自動車運送事業者は労災保険の「特別加入」が可能です。月数千円〜の保険料で、事故・通勤災害・疾病に対する補償が受けられます。配送中の事故は人生を変えるレベルなので、開業と同時に必ず特別加入の手続きを取ってください。

国民健康保険・国民年金の節約策

個人事業主で大きいのは小規模企業共済とiDeCoの活用です。両方とも掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税・国民健康保険料を同時に下げられます。年間84万円(小規模企業共済)+27.6万円(iDeCo)まで控除可能で、所得330万円の人なら年20万円超の節税効果があります。「手取りが厚生年金加入時より下がる」現象の半分は、この控除を使わないまま放置することで起きています。

万一の備え:所得補償保険

怪我や病気で1ヶ月稼働できない場合、会社員なら傷病手当金(月給の2/3)が支給されますが、個人事業主は対象外。所得補償保険(民間)か、業界団体の共済に加入しておくことを強く推奨します。月3,000〜6,000円程度で、入院・手術・休業時の補償が確保できます。

10. 向いている人・向いていない人と次のキャリア

向いている人の3要素

  • 体力と健康管理が自前で出来る:1日150〜200個を運ぶ仕事は若くても腰・膝にきます。日々のストレッチや食生活が整わない人は3年持ちません。
  • 事業主感覚を持てる:売上−経費=利益という発想で、税務・契約・保険を自分で管理できる人。「会社が何とかしてくれる」発想が抜けない人は手取りで損し続けます。
  • 地理と段取りが好き:効率配達のルート最適化、再配達回避の段取り、置き配ルール理解。これらが面白く感じられる人は、未経験でも3か月で標準個数を達成できます。

向いていない人の3パターン

  • 固定給と社会保障を最優先する人:手取りの安定や厚生年金が重要なら、自社雇用ドライバー(ヤマト・佐川・日本郵便)か倉庫オペレーションへ。
  • クレーム対応が極端に苦手な人:誤配・破損・遅配の一次対応はドライバーが現場で受けます。心理的負担に耐性が必要。
  • 長期キャリアの見通しを描けない人:50代後半以降の体力低下に備え、何歳までに何を貯めて何にステップアップするかを考えていない人は、年齢と共に売上が落ちる構造に飲まれます。

軽貨物の先にあるキャリア

軽貨物業務委託は単独の終着点ではなく、物流キャリアの「実務スタート地点」として捉えるのがおすすめです。3〜5年現場を経験したあと、以下のような展開が一般的です。

1つは、自分でドライバーを雇って2台目・3台目を増やす「軽貨物経営者」化。月商150万円超の小規模運送会社になれば、社会保険を法人で持てるようになります。2つ目は、現場経験を活かして倉庫運営や配送センター管理職への転身。倉庫サイドのキャリアは倉庫管理転職完全ガイドに詳しい解説があります。3つ目は、SCMやロジスティクスコンサルとして荷主側の物流戦略を支援するルート。ドライバー実務を踏まえたコンサルは希少価値が高く、年収レンジも大きく跳ねます。詳細はSCM・ロジコンサル転職を参照ください。

FAQ(よくある質問10件)

Q1. 未経験でもすぐに軽貨物業務委託で食えますか?
A. 体力と地理感覚があれば、3か月で月売上40万円ラインに乗る人が多いです。ただし手取りはそこから経費・社会保険を引いた金額(売上40万円なら手取り22〜26万円)で、最初の半年は所得税・住民税の支払い分を別途プールしておかないと翌年の確定申告で詰みます。
Q2. Amazonフレックスとヤマト下請、どちらが稼げますか?
A. 時給単価ならAmazonフレックス(約2,000円相当)が高いですが、ブロック取得競争があり「やりたい時間が必ず取れるわけではない」ことに注意。安定して読める月収が欲しいならヤマト下請の1次が有利です。理想は両方登録し、フレックスのブロックが取れない日に下請の固定エリアを回すハイブリッド型です。
Q3. 黒ナンバーは1日で取れますか?
A. 運輸支局と軽自動車検査協会の2か所を1日で回れば、最短その日にプレート交付まで可能です。ただし2025年4月から安全管理者の選任義務が加わったため、講習日程を含めると実質1〜2週間見ておくのが現実的です。
Q4. 業務委託契約なのに毎朝集合・終礼があるのは違法ですか?
A. 直ちに違法とは言えませんが、勤務時間・休憩・服装まで詳細に管理されている場合は「労働者性あり」と判定される可能性が高く、偽装請負として元請に1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。フリーランス保護法の対象でもあるため、公取委「フリーランス・トラブル110番」へ相談できます。
Q5. 確定申告は自分でやれますか?
A. 売上が年500万円程度までならクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)で個人でも対応可能です。青色申告特別控除(最大65万円)が大きいので、開業届と同時に青色申告承認申請を必ず提出してください。売上1,000万円超や複数台運営になったら税理士契約(月1〜3万円)を検討する分岐点です。
Q6. インボイス制度の影響はどれくらいありますか?
A. 元請が課税事業者の場合、免税事業者のままだと「仕入税額控除できない分」を理由に単価10%減を求められるケースがあります。年売上1,000万円未満でも、適格請求書発行事業者(課税事業者)になることで実質単価を維持できることが多いです。逆に課税事業者になると消費税の納税義務が発生するため、税理士とシミュレーション必須です。
Q7. 事故を起こしたらどうなりますか?
A. 任意保険(事業用)の対人・対物無制限に加入していれば、相手方への賠償はカバーされます。問題は自分の怪我と稼働停止期間。労災特別加入と所得補償保険の両方に入っておくと、入院・通院・休業期間の収入減を最大8〜9割カバーできます。任意保険を「最低限」に削っている人ほど、事故1回で廃業するリスクが高いです。
Q8. 軽貨物ドライバーは何歳まで続けられますか?
A. 体力次第ですが、宅配中心なら60代前半、チャーター便やセールスドライバーなら70代まで現役の人もいます。ただし加齢で稼働個数が落ちると売上も落ちるため、50代までに「自分でドライバーを雇う」「倉庫運営に転身」「物流コンサルへステップアップ」など、体力に依存しないキャリアの第2波を仕込んでおくのが安全です。
Q9. ロイヤリティを取られない直契約に入るには?
A. 大手元請(Amazon、ヨドバシ、楽天など)の直契約募集ページにエントリーするか、地場の中堅運送会社で「ロイヤリティなし・歩合のみ」の契約形態を選ぶことです。直契約は登録までに半年以上の業務委託実績や売上証明を求められることが多いので、最初は下請でキャリアを作って2年目以降に切り替えるパターンが現実的です。
Q10. 軽貨物の次は何のキャリアが伸びていますか?
A. 2024年問題と物流DXの両軸で、現場経験者の需要は「倉庫管理」「配送センター長」「SCM/ロジスティクスコンサル」の3方向に伸びています。年収レンジでいうと倉庫管理職600〜800万円、配送センター長700〜900万円、ロジコンサル800〜1,500万円と、ドライバー時代の手取りを大きく超えてきます。詳細は物流年収ランキング2026SCM・ロジコンサル転職を参照ください。

まとめ:軽貨物業務委託は「事業主であることを引き受ける覚悟」がすべて

軽貨物業務委託は、求人広告のキラキラした月収数字だけ見ると魅力的ですが、本質は「自分が事業主になる」ということです。売上から経費と税金と社会保険を全て自分で差し引いた残額が手取り。会社員が自動的に持っていた厚生年金・健康保険・労災・雇用保険・有給休暇・退職金・賞与のすべてを、自分で組み立て直さないといけません。逆に言えば、そこさえ覚悟して仕組み化できれば、フリーランス保護法という追い風と、2030年まで拡大が確実なラストワンマイル市場という需要構造を享受できる、数少ない「経験ゼロから独立できる業界」でもあります。本記事で示した10章の論点を契約前に全て点検し、次のキャリアまで見通したうえで、扉を開くか冷静に判断してください。

出典・参考
  • 国土交通省「貨物自動車運送事業統計」「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」
  • 国土交通省「貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)届出制度」「令和7年安全対策強化対応」
  • 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」
  • 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年11月1日施行)特設サイト
  • 矢野経済研究所「ラストワンマイル物流市場に関する調査(2025年)」
  • 各社公式案内:Amazonフレックス、ヤマト運輸、Uber Eats Japan

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